2025年3月12日
ODメディア
人を活かす組織⑫~最高のチームワーク④ 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-315
チームワークを改善する方法として、チームの協働性ワークショップというものがあります。チームメンバーがオープンになればなるほど、チームの協働性を高めることが容易になります。最高のチームワークの最終回は、協働性を高めるワークショップの進め方です。メンバー構成は、6~12名程度で、協働して働くことが重要であるという参加者で実施します。
ステップ1.
- 協働性ワークショップは、開放性に対する理解を深めてから実施するに越したことはありません。したがって、ステップ1.は、参加者が自己概念を探求するセッションからスタートします。
- まず、オープンネスと選択の概念を理解することはから始めます。それから、仲間性・統制・開放性の観点から自分の行動傾向を理解します。この傾向については、参加メンバーで「私から見るとあなたはこう見える」というフィードバックを加えて実施するのが良いでしょう。
- 最後に、自己イメージと防衛について理解するセッションを入れ、参加者間に率直なやり取りに慣れていただきます。この進め方によってチーム内に、信頼の雰囲気と普段口にしなかったことを表明してもOKであるという感覚を醸成します。
- この段階が終了して、協働性ワークショップを実施します。協働性ワークショップは、仲間性、統制、開放性の順番で進んでいきます。
ステップ2.仲間性の評価
- 仲間性は、チームがこの仕事を進めるうえで、どのような関係で進めることが合意されているのか、つまりそれぞれの役割・ポジション・関係性を確認することです。いわゆる組織図に近いものであり、それぞれの相互依存関係がどのように設計されているのかを確認します。
ステップ3.統制の評価
- 統制は、参加者全員の認知を確認しながら、チームメンバーの各ペアが一緒にうまく働くことがどれほど重要なのかを評価していきます。このことを関係の重要度(中核性)といいます。つまり、仲間性で確認したメンバー間の相互依存関係について、どのようになっていることが望ましいのかを査定します。チームメンバーはそれぞれ重要な存在であっても、ペアの関係で見ていくと、仕事を効果的に進めていく上で全てのペアが等しく重要な相互関係である必要はありません。例えば、リーダーとサブリーダーは常に情報交換をしておく必要があるということで、この二人のペア関係は他のペアより密接である必要があるかもしれませんが、リーダーと他の担当者の関係は、リーダーとサブリーダー程密接である必要はないかもしれません。すべてのペア関係で評価していきますので、7人のメンバーであれば、「7×6÷2」で21のペア関係の評価をします。
- 重要度の評価は、チームの目標や問題を解決すべき時にどの程度の協働関係が求められるかによって査定します。人物の関係の査定ではなく、そのポジションの関係の査定です。評価基準は以下のようになります。
- 高い:常に協働し、一緒に働く必要がある。
- やや高い:常に一緒に働く必要はないが、この人の承認がないと動きづらい。
- 中間:アドバイスをもらったり、情報をもらったりできる相談相手である。
- やや低い:仕事の補助者。必要な時に、サポートの依頼をする必要がある。
- 低い:常に一緒に働く必要はないが、情報を入れておく必要がある。
ステップ4.開放性の評価
- 開放性の評価とは、ステップ3.の統制の評価が、現実にはどれほど機能しているのかを確認するステップです。例えば、関係の重要度(中核性)は高くても、実際にはそれほどうまく働いているとは言えないペアもいます。逆に、関係の重要度(中核性)はそれほど高い必要がないにもかかわらず、現実には高い開放性のペアもいます。
- 現状(開放性)の評価は、協働すべき2人が「うまく協働できているかどうか」で評価します。評価基準は以下の通りであり、うまくいっているかどうかを概ね5段階で評価します。
- ストレスなく話ができる。
- 必要な指摘が互いにできている。
- コミュニケーションが十分取れている。
- お互いにベストを尽くしている。
- 余計なことに時間を使っていない。
以上のプロセスは、全員で実施することに意義があります。この方法は、何か問題のあるペアを別室に呼び出して実施するよりは、はるかに効果があるものです。つまり、「私とあなた」の問題は、チームのメンバー全員に影響を与えるのです。例えば、チームリーダーとサブリーダーの関係が実際にはうまく機能していない場合、それはチームの生産性に負の影響を与えることは明らかです。ペアの問題をチーム全員で確認し合無し合うことは、むしろチームメンバー間の信頼性を高めることにつながり、チームのパフォーマンスは劇的に改善します。最後に、チームワークを高める行動が実践されているかをチェックする簡単な質問項目を紹介します。(原本を意訳改定)
- 私は、チーム運営に対する自分の感情と考えについて隠し立てをせず、必要であればみんなに率直に伝えている。
- 私は、チーム運営のやり方や私自身の役割について何を期待しているのか、自分の動機やニーズを誠実にみんなに伝えている。
- 私は、チームメンバーの考えや感情を聴く。そして、それを認めるとともに、それに対する自分の率直な反応を伝えている。
- 私は、自分たちチームの使命や目標について変化が必要であると思える場合、それをリーダーやメンバーに率直に伝えている。
- 私は、チームの意思決定をどのように行うのかというミーティングには必ず参加し、チームでの意思決定方法を確認している。
(続く)
参考資料:自己と組織の創造学
この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。