• センスメーキングとOD②~センスメーキングとは2. 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-285~

センスメーキングとOD②~センスメーキングとは2. 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-285~

センスメーキングとは、なかなかしゃれたネーミングです。 前回のODメディアで、“幼児虐待”という表現は、自分の子供を殴ったり、殺したりしている親の生々しい姿を想像させ、そしてそのイメージは、怒りと憤りを想起させ、人々に何らかの行動を起こさなくてはならないと思わせるには十分です。従来と異なる生き生きとした言葉は新しい可能性への注意を呼び起こすということであり、より多様なイメージを喚起できる組織は、貧困な語彙しか持たない組織よりも適応的なセンスメーキングをするということに言及しました。

組織的なセンスメーキングは、E.シャインがいうところの組織文化でいえば、レベル3.にあたるものでしょう。シャインの組織文化レベル3.を確認します。
組織において、ある問題に対する解決策が繰り返し機能する(うまくいく)と、それは当たり前のことと考えられるようになります。そうして、ある時期までは仮説でしかなかったものが、徐々に一つの現実として取り扱われるようになります。そうすると、それはもう基本的仮定となり、私たちはそのことを疑問にさえ思わなくなります。組織的なセンスメーキングが成立している状態です。つまり、基本的仮定が集団内で強く保持されれば、そのメンバーは、他の前提に立った行動など想像もできないのです。基本的仮定は、アージリスによれば「実行上の理論(行動理論)」と呼ばれるものと同じです。このような無意識の仮定はデータをも歪曲して認識します。例えば、マクレガーのX理論の仮定を持っている人は、ある人がただ机に向かっているのを見ると、それは何か難しい問題を考えているのではなく、ただサボっているだけと認識するのです。そして、この基本的仮定が異なる人たちのコミュニケーションのズレは、職場の日常の中に頻繁に出現するのです。ワイクであれば、センスメーキングが異なれば、同じ事象に対する解釈が異なるというような説明をするのでしょうね。センスメーキングの概念に戻りましょう。
センスメーキングは、文字通り意味(sense)の形成(making)を表現しています。能動的な主体(つまり私たち)が、有意味で(sensible)、知覚可能な(sensable)事象を構築します。センスメーキングの研究者たちは、センスメーキングを様々に定義しています。
 センスメーキングとはある種のフレームワークの中に異なるものをおくこと。私たちは過去の経験から、ある事象に対して何らかの将来的予測をしながら行動します。しかし、現実は必ずしも予測通りに動いていきません。予測が裏付けられないということは、ある種の進行中の行動が中断したことになります。センスメーキングを理解するとは、人々がどのように中断に対処するかを理解することでもあります。別の言い方をすれば、中断しなくてはならなくなったことにどのような意味付けをし、どのように次の行動を選択するのかということです。
 センスメーキングとは情報探索と意味帰属と行為の相互作用。これは、私たちが置かれている環境をどのように理解し、それに対してどのように反応するのかということです。例えば、23年夏の甲子園は慶應義塾高校が優勝しましたが、この背景には従来の高校野球にあった「丸刈り根性論」に対する疑問と、新しいビジョンの提示、つまり新しいセンスメーキングがあります。実際、丸刈りではない選択をする高校が約70%に増えているというデータもあります。

いずれにしても、置かれている環境や経験することをどのように意味づけるかが、私たちの選択に影響を与えるのです。
参考文献:センスメーキング inオーガニゼーションズ

この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。