• ~[組織開発]教科書から学ぶ㉕~ODの社会的技法 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-278

~[組織開発]教科書から学ぶ㉕~ODの社会的技法 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-278

ODメディアでは、[組織開発]教科書に則り、ODの社会的技法、つまりODを実践する際に使える技法や方法について紹介しています。[組織開発]教科書によれば、ヒューズ(1980)のまとめが適切であろうとしています。それによればOD介入法は10項目になります。

  1. 個人への介入
    • これは個人へのカウンセリングや全てのコーチング活動、キャリア・デベロップメントや行動変容が含まれます。
  2. 構造化していないグループ・トレーニング
    • 感受性訓練やチームづくり
  3. 構造化したグループ・トレーニング
    • 経営管理者開発のリーダーシップトレーニング、MBOトレーニング、チームづくりなど。
    • チームづくりは、構造化していない場合としている場合と両方のアプローチがあるとしている。
  4. プロセス・コンサルテーション
    • ここでのプロセス・コンサルテーションは、シャインが言うところのプロセス・コンサルテーションではなく、「共通の問題を明確化し解決するために小集団や作業チームに使う介入のすべて」を指す。要するに、問題の当事者であるチームを対象にした介入を意味する。チームづくりはここにも入る。
  5. サーベイ・フィードバック方式(いわゆるアクション・リサーチの適応)
    • かなり公式的な方法でデータを収集し、その後にデータフィードバックと行動計画作成の話し合いが続く技法である。この介入は、クライアントとの関係で3つの方法がデザインされる。
      • データを渡すだけ。その処理はクライアントに任される。
      • データ収集、データフィードバック、行動計画の話し合い。
      • 概念教育、データ収集とフィードバック、行動計画の話し合い、継続的フォローアップ。
  1. 職務再設計
    • タスクの変更、職責の交代、技術/物理的環境の変更など、仕事そのものの最善や再設計。QWLプログラムの実施、日本でいうところの働き方改革などはこの分野である。
  2. 人事システムの変革
    • 報酬制度、人事考課プロセス、選抜と昇格、人員計画などの領域における変革。
  3. 経営管理プロセスの改善/変革
    • MBO、人事評価、給与改定などに関する領域の改善/変革。
  4. 組織デザイン
    • いわゆる、機構や構造の変革である。機能別組織を事業部制にする、事業子会社を持ち株会社で束ねる、新規事業開発部門を外に出すなど。
  5. 上記9つの介入を2つ以上活用する統合的アプローチ

 

[組織開発]教科書でW.バークは、ヒューズの分類に従い10項目を紹介していますが、もっと集約した形でまとめているものを下記に紹介します。Cummings, T. G., & Worley, C. G. (2014).  Organization development and change. によれば、4つの視点から介入のスタンスと方法論が整理されています。

  • OD介入の4つの視点と介入スタンス

 

 

これによれば、ODは部分的なものではなく、やはり組織をシステムとして捉え介入していくことが大切であることを理解しておく必要があります。

  • 組織の効果性を高めていく場合、全体として一貫・整合の取れた介入となるよう、個別介入の関連性・連携活動を工夫することが求められる。
  • 組織の効果性改善や問題解決は制度改革や個人の能力開発だけではない。日々の活動の方向性を定める組織の将来像や人々の意識・関係性・組織文化(風土)という「形になっていないソフトな領域」は組織の効果性や生産性に非常に強く影響する。
  • 複雑・潜在的に相互連結する組織問題は、初めから明確に出現しているとは限らない。介入と結果の分析(サーベイ)で浮かび上がる本質的な組織問題を直視し対処しなければならない。

ODの実践は、やはりトータルシステムという視点が欠かせないということです。

参考文献:[組織開発]教科書

 

この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。