• 鬼上司のリーダーシップ③~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-168 ~

鬼上司のリーダーシップ③~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-168 ~

鬼上司といかに付き合うかというのは、まことに難しい問題です。部下たちは、極めつけの鬼上司であった、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスとどのようにして上手に付き合ってきたのでしょうか。R.クラマーによれば、それは至極あたり前のことをたゆまぬ努力でやり続けることです。

①下調べを怠らない

仕事において下調べをすることは当たり前だが、例えば、偉大な鬼上司の経歴を詳しく調べ対応することは役に立つ。つまり、その上司とうまく付き合うことに成功した人を洗い出し、その成功の理由を突き止めるのです。米国初の女性国務長官になったマデレーン・オルブライトは、若かりし頃、鬼上司で有名だったマスキー国務長官と協力関係を築くことができたのは、彼女が彼のことを怖がらなかったからです。彼女は「ライオンの住処」と呼ばれたマスキーの事務所を訪れるのが楽しみでもあったのです。マスキーが怒鳴り、オルブライトがやり返すというのが日課だったようです。その結果、彼は彼女に一目置くようになるのです。でもこれは、人を見てやらないとだめですね。いきなりやっちゃうと逆にボコボコにされそうです。

 

②人一倍働く

偉大な鬼上司は、誰よりも働きます。ですから部下も鬼上司に負けず劣らず懸命に働くことはとても大事なことです。ただ、それは闇雲に働けばよいということではなく、効率よく働き成果を出さなくてはなりません。ビル・ゲイツは、飛行機での移動にエコノミークラスを使うことで有名ですが、効率的に働き成果を出すとはそういうことです。イーロン・マスクは「毎週80時間から100時間くらい、がむしゃらに働くことで、成功する確率を高めることができる」と言います。彼は、他の人が1年かかる仕事を、4カ月余りでやり遂げるように働くともいいます。誰よりも効率良く働き、生産性を高めようとしているのですね。何かを成し遂げようとすれば、日本でも同じですよね。

 

③奇矯な振る舞いに動じず一目置かれる存在になる

アメリカ大統領であったリンドン・ジョンソンは、自分がトイレで用を足しているところに補佐官たちを呼びつけては、どやしつけるということをやっていたそうです。普通は、ご免こうむりたいところでしょうが、補佐官としてはここで怯んでは仕事になりません。ジョンソンがこのような行動を取ったのは、補佐官たちがどれくらい自分の意のままになるかを把握することにあったようです。こんな仕打ちに慌てふためく補佐官は一目置かれません。一目置かれるような補佐官がどうしたかというと、物静かな口調で「喜んでおそばに寄りたいところですが、大統領閣下、あいにく私が座る席がないようです」と答え、ジョンソンを苦笑させたのです。

 

④ハッタリを見抜く

鬼上司はよくハッタリをかまします。部下たるもの、このハッタリを見破るだけでも効き目があるようです。特に、情報収集に優れた鬼上司にはとりわけ効果的であるようです。「そんなことは信じられません」というだけで時間が稼げます。鬼上司は、自分に匹敵する強靭な精神の持ち主を探しているものであり、部下はプレッシャーに強いことを示す必要があるのです。

 

⑤混乱した状況でも慌てない

鬼上司は、人をイライラさせることをやることで、その人を試すことがあります。ある会社で一目置かれているスタッフが採用面接時に体験したことです。鬼上司(CEO)の部屋を訪れた時、鬼上司は電話中だったのですが、そこに座ってと言い、電話を続けました。座る場所は、CEOが座っている場所から日が差しており、彼の顔は逆光でよく見えません。加えて、しばしば秘書を呼びつけ、一言二言話して、秘書が出ていきます。そしてまた戻ってくる。この繰り返しでした。この有望なスタッフが後で知ったことですが、この状況は人を動揺させること以外に目的はなかったのです。で、この将来有望なスタッフは邪魔が入っても動揺することなく、落ち着いて鬼上司に対応し、採用を勝ち取ったのです。

 

⑥初志を貫徹する

鬼上司に耐えられず、さっさと辞めてしまう誘惑にかられることは何度もあります。しかし、ちょっと立ち止まり、その鬼上司の下で働く理由は何だったのかを考え直すことも必要です。鬼上司が天才で、業界にイノベーションを起こしているような人なら尚更です。学ぶために虎の穴にもぐりこんだのであれば、虎と共に寝起きすることで学ぶことがあるのです。ジョブスやマスクの下で働かなければ学べないこともあるのです。

 

チェンジやODと言わずとも、鬼上司の多くはゲームチェンジャーです。皆さんは、鬼上司の下で働きたいですか。因みにR.クラマーによれば、アメリカにおける鬼上司の生息エリアはハリウッド、ハイテク業界、ワシントンDCに集中しているということです。要するに富と権力に対して人々が蠢いている場所ですね。

 

この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。