組織開発(OD)からポジティブ組織開発(POD)へ-その4~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【65】~

~人間がベストな状態とは~
前回、持続的な組織成長の根本は人間がベストな状態にあることなのかもしれません。と書きましたが、では人間がベストな状態とはいったいどのような状態でしょうか。
ポジティブ心理学の主張を見てみると、人としての「良い状態」の要素として5つが大切であると言っています。この5つをWell-Beingとも言います。
①Positive Emotions:ポジティブな感情
②Engagement or Flow:積極的な関わり
③Relationships:良好な相互関係
④Meaning:仕事の意義や意味の追求
⑤Achievement:達成への活動
加えて、Wellness:身体的な健康 が6番目に入っても良いでしょう。
もう一つ、アメリカの社会心理学者ジャック・ギブが「健全な人間」について語っています。彼は健全な人間はとは以下のような人間であるといっています。
①「健全な人間」は、自分自身について、いつも新たに気づき、そして自分の動機を知り、気づきを持って生きていく。自分自身を受容し得るとき、他人をも受容し、従って信頼できるようになる。そして、成熟したグループでのメンバーシップを獲得し、他者に対しても寛容で受容的である。自らを愛し得ると同時に、自由に他者をも愛し得る。
・受容懸念の解消
②「健全な人間」は、自発的な行動ができる。自発的であることによって、他者と共にデータを与え、また受ける。効果的な参加者であり観察者である。
・データ懸念(コミュニケーション)の解消
③「健全な人間」は、自覚のあらゆるレベルで欲求と行動の統合ができる人である。
・目標懸念の解消
④「健全な人間」は、他の人たちと共に問題解決に参画することができるが、その際に他に依存しすぎるとか、反依存的に相手と争うことのためにエネルギーを浪費することはない。組織系統があってもなくても、有効な仕事ができる。
・統制懸念の解消
人間は不安と共に生きていくのですが、上記の4つはその不安が解消された状態です。
組織開発(OD)の目的は「より良い組織の創造」だったのですが、ポジティブ組織開発(POD)はもっと明確に「人間がベストな状態でいられるような組織づくり」を目指していこうとするものです。これができれば、人間集団という組織の効果性がより高まるのではないかということがポジティブ組織研究(POS)により具体的データとして理解されてきています。
※この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株) 波多江嘉之です。