コギャル特集⑧:ある事件を通して「認知相違」が引き起こす問題を考えてみる(メルマガバックナンバー)

★当社プログラム『コグニティブ・ギャップ・リストラクチャリング・メソッド(認知相違調整法)』※通称「コギャル法」
についての特集記事です。
セミナーやYouTube動画などの最新情報は、当社メルマガにて配信中です!
ぜひご登録をお待ちしております。
【登録はこちらから】
今回はクイズから始めたいと思います。みなさんは以下の状況だったらどうしますか?
[状況]
・ATMの前に二人いる
・一人はサングラスをかけてマスクをつけ、帽子を深くかぶった男性
・もう一人は幼児を抱っこした若い女性
・その二人がATMの前で「何か」を取り合って争っている
・若い女性が「助けて!」と言っている
さてみなさんがこの場面に立ち会ったらどうするでしょうか?
おそらくほとんどの人がなんらかして「この強盗から母親を助けよう」とするのではないでしょうか??
さてなんのクイズか? ↑に記載した「」の部分に違和感を感じた方はなんとなくオチが分かっているかもしれませんが、
ここに私たちのバイアスと感情的反応が潜んでいるという事例です。
実はこれは2004年に実際に起こった事件内容をもとに簡素化(一部脚色を加え)表現した状況です。
事件の名前は「四日市ジャスコ誤認逮捕事件」。
有名な事件なのでご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、経緯としては下記です。
上記状況からその場にいたすべての人が男性を強盗と認識し、若い女性を助けます。
そして駆け付けた警察もその状況から男性をかなり強力に制圧し、結果として
死に至らしめてしまったという事件ですが、衝撃的なのは何かを取り合っているのは
女性のほうが男性のものをとろうと手を出したのであり、むしろ強盗と思しきはこの女性の方。
周囲がその男性を制圧している間にその女性はいなくなり、いまだに見つかっていない、未解決事件です。
コギャル特集としてこちらを扱いましたのは、認知相違が問題として発展していく非常に印象的な事例だと思ったからです。
先入観や最初の印象で、自分の中でストーリーが形成され、一つの認知が形成されていく。そしてそれは自分たちの
道徳観など深い価値観と結びつき感情(この場合は男性への嫌悪感や正義心)が発露し一人を死に至らしめるまで強い力で行動しました。
当時のことはもちろんわからず様々な憶測が飛び交っていますが、自分自身でその立場にいたらどういう判断をするだろうと考えさせられる内容でした。
もちろん死に至るということはまれなのかもしれませんが、ビジネスの現場でもこの構造に近いことは日常的に起こっているという実感を持っています。
(最近のパワハラによる自殺などの事件を見ていると、死に至るということもまれというには身近すぎる問題かもしれません)
・入りたての新入社員に「態度が悪い」からと叱責、周囲の先輩社員たちも巻き込んで「あの人はこういう人だ」という特定の認知が形成されていく。
・A部門とB部門が感情的な対立から相互にレッテルをはり合い、お互いを敵として認定しあう認知が形成されていく。
当事者たちからしたら上記の事件のような冤罪だと感じる内容も多いでしょう。「冤罪」をかぶせられたら、大きくは、精神的に参るか、無罪を主張して
より強硬的な態度にでるかの2択の行動選択になると思います。これは今もどこかの職場で起きている認知相違的現実です。
こうしたことは感情を伴い、当事者間ではもはや解決は不可能なくらいまでこじれることも多々あります。
「解決できないくらいこじれたね」と表面化するならば逆説的ですがまだマシです。
表面化しないだけで誰にも問題意識をもたれずに「生産性を大きくジャマしている」。こうした事例は実は多々存在するというのが私の実感です。
※コンサルタントとしては、当事者同士ではわからない、この認知相違を整理し、紐解く力量の方が経営フレームや分析力などより大切なことだと日々実感しております。
このあたりのことは先日の当社社長ブログにも詳しく記載しております(日常における認知相違を調整するのに効果的な方法と仲介役の機能を考える | JoyBizコンサルティング株式会社 (joy-biz.com))
私としてはこうしたことに関心を持って多様な認知を調整して「冤罪」ではなく「協働」によってパフォーマンスに向かう職場づくりのほうが
気分がいいし、お得だと感じますがみなさんの職場ではいかがでしょうか。