武器としてのこころリテラシー【7】~自分のこころを見つめる2つの方法(理入・行入)(後半)~

みなさん、こんにちは。

前回、自己理解を阻む3つの壁をご説明させていただきました。

(①理解の壁②経験(体験)の壁③本能の壁)

※前回の記事はこちらからご覧ください。

武器としてのこころリテラシー【6】~自分のこころを見つめる2つの方法(理入・行入)(前半)~

 

さて、どれも悩ましい問題なのですが、①は比較的話は簡単です。自分の頭の中を知ればいいのです。知ることで気持ちが楽になったりします。そしてそのための道具性は比較的多くのものが紹介されていますし(使い方は注意を必要ですが)取り組みやすいハードルではないかと思います。

ですが、やっかいなのは②と③です。なぜなら気持ち・感情(LIFTモデルでいう情の部分)が深くかかわってくるためです。なぜこれが厄介なのかというと、LIFTモデルの知と情と意は相互に影響を与えあってこころを形成しているのですが、とりわけ情はほかの2つへの影響力が強いからです。

端的に言うと、ひとたびネガティブな情動が生じたときにはほとんどのケースは、どんなにポジティブな意をもっていて、「このケースではまあ大丈夫だ」みたいな知をもっていたとしても、ネガティブな状態に引っ張られることが多いということです。これは何を示しているかというと自分自身で振り返りを効果的に行っていくためには自分の頭の中を知るだけではなく、情の部分をうまく扱う必要があります。

~理入と行入~

ではどのようにアプローチしていけばよいのかというと、振り返る際には知的な領域と情的な領域の双方からアプローチすればいい、というのが私たちの結論です。どういうことかというと振り返りを行う際に、今何が起きていて、それが自分にどんな影響を与えていて、苦しい気持ちを生み出しているかをまず理解しようとします。

①の問題でしたらこうしたアプローチでこころの状態に気づいてすっきりした気持ちになったり、ネガティブになりがちな自分の意(観念・認知システム)を理解できてうまくこころの状態を作っていくことができたりします。これを理屈で理解してこころに入っていくということから理入といいます。

 

しかし場合によっては、②や③のような問題が絡んでいる場合は自分自身の情の部分を整理できず、ネガティブ方向へ引っ張っていく情に負けていくことがあります。そうなると冷静に自分の中を見つめることができなくなります。ましてや③の場合は単純にわからないのではなく「気づきたくない」という本能でもあるのでより厄介です。つまりここで情の部分に直接アプローチできる(情の部分に気づき易くなる)方法論が必要で、その方法を情(その要因となっている行い)からこころに入っていくということから行入といいます。

 

つまり、自分のこころを見つめるためには理入と行入の2つの方法があるということです。当然理入にも様々なやり方、行入にも様々なやり方があり、そのすべてをここで紹介することはできませんが、例えばレジリエンス向上プログラムのベースとなっている認知行動療法のアプローチでは自分が無意識に持っている認知を書き出して客観化し、それを書き換えていくという方法論があります(ABCワーク)。これなどは理入の代表的なものだと言えるでしょう。自分が無意識にもっているものに自分の理力で気づいていくのです。

一方で昨今のストレス低減に効果があることから保険適用にもなっている方法論であるマインドフルネスなどは、呼吸を中心とした瞑想法の技法を活用して脳の活動に影響を与え、情動を落ち着かせたり、受容を拒みがちな情動をやわらげたりする効果があります。これなどは行入の代表的なものと言えます。脳科学の分野が発達し、マインドフルネスに取り組むことによって、セロトニン分泌が促進されるということもわかってきました。このように実際に自分の体の行いから直接自分の情にアプローチしてこころのあり方を整えていくのです。

※ちなみに実際に自分でやって試してみたいという方はこちら(https://manebi.jp/ja/course-view-details/11654)をご覧ください。セルフストレスマネジメントというテーマで理入と行入を織り交ぜて具体的なワークをご紹介しています。ご自宅で取り組んでいただけるものばかりですのでご関心がありましたら是非ご覧ください。

 

これらの2つのアプローチを駆使して自分自身のこころを見つめていくということがこころリテラシーを使いこなすコツですが、やはりまだまだ世間は合理的な問題解決を志向しますので、理入アプローチに関心が寄せられがちです。

理屈で分かったほうが安心するからということもあると思います。その考えのパターン自体がこころリテラシーを弱くしてしまうことにつながるのですが・・・・

 

さて今回は、自分のこころを見つめるアプローチとして理入と行入の2つのアプローチを解説しました。実践としてはまずは理入であれ、行入であれ何かをやってみて自分を振り返るということをスタートしてみるとよいと思います。

「何かやってみたいけど何からすべきだろうか?」と迷われた方は是非一度上記のプログラムを覗いてみてください!

※詳細をお知りになりたい方は、ぜひ下記よりお気軽にお問い合わせください。

 

当社HP:https://www.joy-biz.com/

Facebook:https://www.facebook.com/joybiz/

Twitter:〈竹本〉https://mobile.twitter.com/Takemoto_shamo

〈池田〉https://mobile.twitter.com/shin_ikeda3

Line:QRコード